JUGEMテーマ:本
1月16日の続きです。
昔から、図書館などでは貴重だったり痛みやすい資料は書庫に閉まっておいて 閲覧はポジやマイクロフィルムで、ということはよくありました。
こうしたフィルムは いわば代用コピーだと思うんですが、デジタル時代の現在、以前と比べると 技術的にはより手軽に高画質のコピーが作れるようになっています。
つまりは、ヴィンテージ絵本に限らず、古い本の代用や補完という意味ではデジタルは大いに可能性があると思うんですけどね。
ここで、前文の最後に「けどね。」をつけたのは、技術的には可能でも 現実はなかなかそうなっていかなそうなので…。ハギレの悪い文章になりましたが(^^;)。
この後も、この問題は考えていきたいです。
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これまで、絵本の価値を活かす修復法について考えてきましたが、理想=究極の保存・メンテナンスの方法って どうなんだろう。
古い絵本のヴィンテージものとして、また アート作品としての価値はオリジナルの状態がいかにキープされているかが前提になります。
オリジナルの状態を保つためには「なるべく光にあてず、風通しのよいところにしまっておく」ことが必要です。でも、これでは…。
そう、絵本はやはり情報媒体のひとつ。
人に読んでもらって楽しんでもらってこそ、その芸術的な価値も媒体としての役割も生きてくるわけです。
消耗品(媒体)としての役割(価値)とヴィンテージものやアート作品としての価値を両立させようとするのは やはりむずかしいですね。
とはいっても、ヴィンテージ/アート的な価値をキープしながら、気軽に読んで楽しむこともしたいですよね。
で、いろいろ考えたんですが、その究極ともいえる方法って同じ絵本を2冊そろえることではないかと。
続きます。
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12月10日の続きです。
自分で絵本の修理を始めたころ、ネットで検索していたら本の補修用のプラスティックテープがあることを知り、ちょっとびっくりしたことがあります。
また、それ以前から、図書館の本の表紙全体に貼られているビニールのフィルムに違和感がありました。
というのも、粘着テープには化学糊が使われています。表装での経験を通して、化学糊は全般的に紙を痛めるものと刷り込まれていたのです。はがすのも大変だし。
でも、より多くの人に本を読んでもらう、情報を提供するという図書館の役割を考えると、そこでは本は消耗品。
短・中期間で不特定多数の人たちの使用に耐えさせるには、表紙をフィルムでおおっておけば補強になるし、テープでの補修は安価で早く済むし、図書館のような所ではそれが効率の良い方法なんでしょうね。
ただし、こうしたメンテナンス・修復方法は本を あくまで『消耗品』として扱うことでもあると思うんです。
「書籍用」とされる表紙用のフィルムや補修用のテープの糊は変色しにくいようですが、5年先、10年先のことを考えるとやはり紙の劣化につながるし、フィルムやテープを貼った時点でヴィンテージものや「作品」としての重要な「オリジナル」の価値を損ねることになります。
このことは、本をコレクションとしてみるのであれば、よく考えておいた方がいいと思います。
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12月4日の続きです。
絵本の修復にあたって、絵本の役割や価値をどう考えるかで やり方が違ってくると思うんですよ。
絵本には、大きく分けて2つの価値があると思います。
まず、1つ目は情報媒体としての価値、役割ともいえますね。絵本はそこに載せられた文字やビジュアル情報を読者に伝えるためのもの。作者が発信する情報を読者により深く理解してもらい、また少しでも多くの読者に伝わることで、この価値は大きく生きてます。
そのためには、くり返し何度も多くの人に読んでもらうことになります。いわば、情報媒体=消耗品でもあるわけです。
もう1つの価値はアート性のある作品や工芸品としての価値。
ブッククーリエでは、大量生産されたものであっても、1冊1冊の本は内容から装丁、製本も含め作品であり、工芸品であると考えています。そうであれば、なるべくオリジナルの状態をキープしないことには、作品や工芸品としての価値は保てません。
どの絵本もこの2つの要素を持っているといえますが、消耗品としての役割とアート性のある作品としての価値、相反するものであり、この両方を共存させることは ムリに近いですよね。
保存や修復にあたっては、このどちらを優先させるかになってくると思います。そこで、保存や修復の仕方もおのずと違ってくるのではないでしょうか。
続きます。
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絵本好き、特に、古いもの、ヴィンテージものが好きな方なら、本の修復って気になるところですよね。Tote も気になるので、いつか このブログでも取り上げたいと思っていました。
ブッククーリエには 直せるものなら直したい!と思う本がけっこうあって、少しずつですが、Tote が自分でコツコツ修理しています。自己流ですが。
そういう教室なんかがあれば、ぜひ習いに行きたいと思っているんだけど、製本教室はあっても、修理・修復については すごく少ないようで。幸い、表装をやっているので、紙についての最低限のことはわかっているつもりなので、その技術を活かしてやっています。
といっても、修復した絵本をショップに出したことはないんですよ。どこをどう直したか説明するのがむずかしいというか。
また、修復の方法を文章にして説明するのも、すごくむずかしい。技術的に開発途中の部分もあるので、とりあえず、修復についての考え方を語っていこうと思います。
続きます。
シールはがし液でシールやテープをはがしたあとは、やわらかい布で残った液や糊を拭き取り、よく乾かしましょう。
ブッククーリエでは、ビニール袋に絵本を入れるので、はがし液が少しでも残っているとビニール袋が変形したり、収納ケースなどにもよくありません。
2〜3日、本を立てて乾燥させます。溶剤(シンナーや石油)の匂いが完全になくなればOK 。
シールが完全に取れても本にシミのような跡が残ることがあります。
これは、糊が紙にしみ込んで変色してしまったものなので、残念ながら取ることはできません。
古い絵本のメンテナンスについては、とりあえず これで終わりです。
今後も何か気づいたことがあれば、このブログで ご紹介していくつもりですが、メンテナンスについて話し出したからには、本の修繕・修復のことも気になるなー。
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10月27日の続きです。
前回の一連の作業で シールがきれいに はがせればいいのですが、取りきれないときもあります。
そんなときは、この作業をくり返すことになりますが、多少 シールが残っても せいぜい2〜3回でやめておきましょう。液体を使う作業なので、紙を弱らせて本を痛めてしまいます。
あと、セロテープやフィルムタイプのシールについてですが、紙と違い こういうフィルム状のものには 上からいくらはがし液を塗っても、しみ込みません。
前回お話ししたように、できるだけ へらでテープのカドの部分を持ち上げるようにして、テープと本の間に液をしみ込ませます。
あとの手順は前回の説明と同じです。1度で取れなければ、この作業をくり返すことになりますが、やはり2〜3回を限度にした方がいいでしょう。
完全にはがれない場合、紙のシールは濡れるとはがれた部分を持ち上げると自然と破れて取れますが、セロテープやフィルムはそういうワケにはいかないので、はがれた部分をはさみで切り取ります(本を痛めないように気をつけましょう)。
続きます。
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10月13日の続きです。
今回からシールはがしの作業についてお話ししていきますね。
絵本の表紙に貼られた値札シールなどを指のツメではがそうとすると、はがれない。はがせそうだけど、本の方が破れそう。
そんなときに はがし液を使うワケですが(そんなことはわかってますよね^^)、単純にシールの上からべったり はがし液を塗るだけでは ちょっと効率がよくないです。
外国のシールの糊や古いものほど けっこう頑固だったりしますからね〜。
紙のシールだと液が紙にしみてはいきますが、液によってシールの糊が溶けないと シールははがせません。
シールのはがれかかっている部分をみつけるか、例のへらで少しでもシールのカドを浮かせるようにして、なるべく、シールと本の間にはがし液を流し込むようにします。
作業中は部屋の換気を良くして、本や はがし液に顔を近づけすぎないようにしましょう。また、この作業はお子さんやペットのいる部屋ではやらないようにしてください。
シール全体に はがし液がしみこめば、そのまま5分程度 放置します。
その後、へらではがすのですが、こそぎ取るのではなく、シールと本の間にへらの先を入れ、シールを持ち上げるようにします。
これでシールが完全に取れれば、残った液や糊は柔らかい布で拭き取ります。
続きます。
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9月30日の続きです。
上の画像が、ブッククーリエでシールをはがすのに使っているモノです。
シールはがし液(特にメーカー指定はありません)とプラスティックのへらです。
シールはがし液はホームセンターや大きな文具店、画材店で買えます。
石油系とシンナー系があるようです。
ブッククーリエでは以前はシンナー系のものを使っていましたが、現在は石油系で ハケがついた液体タイプのものを使っています。スプレータイプもあるようですが、こっちはちょっと本には使いにくそう。
シンナー系の方が糊を溶かすのも乾くのも早く作業も早く済むのですが、手についたとき肌が荒れやすいんです。
ただし、いずれも(人体に有害な物質を含む)有機溶剤なので、使用にあたってはパッケージや添付の注意事項をよく読んでくださいね。
また、石油系でも はがし液は肌を痛めやすいので、なるべくへらを使った方がいいです。
画像のへらはハンズで買ったもの。
元々は内装屋さんとかが壁紙やポスターをはがすのに使うものだと思うんだけど、すごく使い勝手がいいです。シールはがし液にちっちゃいへらがついてたりするんですが、こっちの方が断然 使いやすいです。値段は200〜300円だったと思う。
このへら、薄くて弾力がありますが、より本を痛めないように先端のカドは自分で丸く削りました。
続きます。
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